呪怨 呪いの家

映画のレビューは私にとって映画を観る上で重要な役割を果たしています。

Netflixでは現在レビューが廃止されているようなのでネット上から評価を拾うのが難しかったです。

他の人がどんな評価をつけているかと言う点も大事ではありますが、自分と同じような感想を見つけて共感したいと言う欲求があります。 

そこで久しぶりに映画レビューを書くことにしました。まず、実在した事件をもとに物語が進んでいくのですが、この事件がかなり有名なものばかりなので実在の事件との齟齬が気になりました。

また凶悪事件ばかりなので、事実は小説より奇なりといった感じでドラマにするとその恐怖がかえって薄まってしまいました。要するに、呪いといったオカルト的な部分が希釈されただの平成凶悪事件史となってしまっています。

実在する事件を背景に描くと言うのは話題性もあり興味をそそられました。そこに惹かれてみたのは良いのですが、実際は誰がどのように呪っているのか、住民や関わった人たちがどのように侵食されていったかがほとんど描かれていません。

ですから、その家に住んだからそうなったと言える根拠がありません。実際問題としてそこまで凄惨な事件があった場合立て続けに居住できるとは考えにくいですし、リアリティーに?がついてしまいました。

宮崎勤が稲川淳二に手紙を書いて送ったことや、車の中で怪談のテープを聞いていた事は有名です。ですが、そういったことを知らない世代の人たちが見たらなぜ彼にコンタクトをとってきたのか突飛に感じられると思います。

実在する事件を劇中に盛り込むことで時代背景を描きたいと言う狙いはわかるのですが、妊婦の電話機事件についてはあまりに胸くそが悪すぎます。実際の事件ではご主人が犯人だと疑われ、マスコミにもセンセーショナルに取り上げられ現在では日本にも住めず海外にて生活されているそうです。そういったこともあって報道の仕方が見直されたのですが、このドラマではご主人が奥さんを殺したことになっています。(電話機は謎)しかも荒川良々さんが「電話機をお腹に入れたのは、そこからなにも出てこないようにした」と考察しており、呪いではなく誰かの意図が働いたと言いたげ…このドラマをきっかけにまた事件が掘り起こされて、勝手気ままにYouTuberに無責任な犯人探しをされるような事態になりませんように…ご遺族が何を言われるかわかったものではありません。

また、サラリと地下鉄サリンやコンクリート、東電なども盛り込んできていますが家に関係のないものをなぜ劇中で語るのか。実在する事件をテーマにしてしまったがために盛り込みすぎた感が否めません。

結論で言うと、人間が怖い話になっていてオバケが怖くありません。ヒトコワに勝てるものって今のところ無いんですよね…。事件史的に扱えばもっと怖く出来たし、オバケに振るなら事件は実在のものである必要無かったです。伽耶子になぞらえた事件ばかり起こる、とか根拠が有ればいいのに。

で、荒川良々だけ生き残ってる理由が「伝えるため」では全く通じませんよね。当時子供だったわけで伝道師的な役割になるとも限らないし無理がある。

あとよく言われてるのが胎児の件です。ひどい描写すぎて笑ってしまいますよね?なんで弁当食べてんだ…弁当食べる必要ないだろ…

最後も消えてしまった男の人、なんか熱で溶けたみたいな意味不明な死に方ですし全く怖くなかったですよ。あんだけ一瞬で死ぬなら本人も怖くないでしょ。北斗の拳のヒデブ的な弾ける系ならヤダなーと思いますが、消えるような感じなので「え?」としか思わなかったです。父親がそんな死に方だったと回顧してるところで同じ死に方。ちょっと主人公に激甘設定過ぎです…

エンディングの歌がアイヌの歌らしく、ここは不思議感あって良いシーンなのですが本編と全く繋がりません。何かこれから明かされるんでしょうかね?少し楽しみ。肩透かしだったらアイヌに謝って欲しい。

キャスティングは概ね良いと思いますが、主人公が怪談集めてるとは思えない。怪談好きなのでよく怪談聞きますが、なんとも言えない狂気を秘めてるんですよね。怖い話をする時に嬉しそうだとか、幸薄そうだとか。多分良い意味で期待を裏切ろうとしたのだと思いますが、微妙だなぁと思います。

そんなこと言いながらでも、ホラーものは貴重なので今後も全部見るんですけどね。次回作は描写や設定にこだわり過ぎずに残穢みたいな感じで謎に迫って欲しいです。あれは怖い描写殆ど無いのに怖かった。(興味深いという意味で面白かった)

Jホラーのじめっとした嫌らしさを期待しています!最後までお読みいただきありがとうございました!